1 神経系及び感覚器官用医薬品
11 中枢神経系用薬
112 催眠鎮静剤 抗不安剤
1125 バルビツール酸系及びチオバルビツール酸系製剤

改訂年月( 201505 )
商品分類番号( 871125 871134 )
JPNコード( JPNC050335 )
YJコード( 1125402A1054 )
厚労省コード( 1125402A1054 )

薬価改訂日( 2014/04/01 ) 単位薬価( 75.00 )


■フェノバール注射液100mg 10%1mL1管 (藤永製薬||第一三共) 【注射】  
(般)フェノバルビタール注射液

  【改訂年月】   【改訂種別】   【禁忌】   【組成性状】   【組成】   【性状】

  【効能効果】   【用法用量】   【使用上注意】   【慎重投与】   【重要注意】   【相互作用・その他】

  【併用禁忌】   【併用注意】   【副作用】   【発現状況】   【重大な副作用(国内)】   【他副作用(国内)】

  【高齢者投与】   【妊産婦投与】   【過量投与】   【適用上の注意】   【その他の注意】   【貯法】

  【使用期限】   【同一成分一覧】

【改訂年月】

201505

【改訂種別】

「版数」
第14版
「種別」
改訂
「改訂理由」
改訂

【禁忌】

禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分又はバルビツール酸系化合物に対して過敏症の患者
2.急性間欠性ポルフィリン症の患者[ポルフィリン合成が増加し、症状が悪化するおそれがある。]
3.ボリコナゾール、タダラフィル(アドシルカ)、リルピビリンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]

【組成性状】

規格単位毎の組成性状
添加物
クロロブタノール
添加物
グリセリンジエチルエーテル

【組成】

組成
1アンプル(1mL)中日本薬局方フェノバルビタール100mgを含有
添加物としてクロロブタノール5mg、グリセリンジエチルエーテル450mgを含有

【性状】

性状
無色澄明の液体である。
pH:7.5〜9.4
【色】
無色澄明
【剤形】
/液剤/注射

【効能効果】

効能又は効果
不安緊張状態の鎮静(緊急に必要な場合)
てんかんのけいれん発作:
強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)、焦点発作(ジャクソン型発作を含む)
自律神経発作、精神運動発作

【用法用量】

用法及び用量
フェノバルビタールとして、通常成人1回50〜200mgを1日1〜2回、皮下又は筋肉内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【使用上注意】

使用上の注意

【慎重投与】

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1.高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
2.虚弱者、呼吸機能の低下している患者[呼吸抑制を起こすことがある。]
3.頭部外傷後遺症又は進行した動脈硬化症の患者[本剤の作用が強くあらわれることがある。]
4.心障害のある患者[血圧低下や心拍数減少を起こすおそれがある。]
5.肝障害、腎障害のある患者[これらの症状の悪化、また血中濃度上昇のおそれがある。]
6.薬物過敏症の患者
7.アルコール中毒のある患者[中枢抑制作用が増強される。]
8.薬物依存の傾向又は既往歴のある患者[精神依存及び身体依存を示すことがある。]
9.重篤な神経症の患者[依存を示すおそれがある。]
10.甲状腺機能低下症の患者[甲状腺機能の異常をきたすおそれがある。]

【重要注意】

重要な基本的注意
1.有機溶媒を用いた製剤である。注射局所に壊死を起こすことがあるので、内服不可能な患者の場合、又は緊急に必要とする場合以外は使用しない。
2.連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
なお、高齢者、虚弱者の場合は特に注意すること。
3.連用中は定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましい。
4.連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること(「副作用」の項参照)。
5.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

【相互作用・その他】

相互作用
相互作用序文
本剤は薬物代謝酵素CYP3A等の誘導作用を有する。

【併用禁忌】

併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ボリコナゾール (ブイフェンド) タダラフィル (アドシルカ) リルピビリン (エジュラント) これらの薬剤の代謝が促進され、血中濃度が低下するおそれがある。 本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A4)誘導作用による。


【併用注意】

併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
中枢神経抑制剤 フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体、トランキライザー、トピラマート等 抗ヒスタミン剤 ジフェンヒドラミン等 アルコール 相互に作用が増強されることがあるので、減量するなど注意すること。 相加的中枢神経抑制作用による。
MAO阻害剤 相互に作用が増強されることがあるので、減量するなど注意すること。 機序不明
三環系抗うつ剤 イミプラミン等 四環系抗うつ剤 マプロチリン等 (1)相互に作用が増強されることがあるので、減量するなど注意すること。 (2)これらの抗うつ剤の血中濃度が低下することがある注)。 (1)相加的中枢神経抑制作用による。 (2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
メチルフェニデート 本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤を減量するなど注意すること。 メチルフェニデートが肝代謝を抑制すると考えられている。
バルプロ酸 スチリペントール (1)本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されることがある。 (2)これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注)。 (1)これらの薬剤が肝代謝を抑制する。 (2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
クロバザム (1)本剤の血中濃度が上昇することがある。 (2)クロバザムの血中濃度が低下することがある注)。 (1)機序不明 (2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
イリノテカン イリノテカンの活性代謝物の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、併用を避けることが望ましい。 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
主にCYP3A4で代謝される薬剤 アゼルニジピン イグラチモド イマチニブ インジナビル カルバマゼピン サキナビル シクロスポリン ゾニサミド タクロリムス フェロジピン ベラパミル モンテルカスト 等 副腎皮質ホルモン剤 デキサメタゾン等 卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤 ノルゲストレル・エチニルエストラジオール等 PDE5阻害剤 タダラフィル(シアリス)、シルデナフィル、バルデナフィル これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、用量に注意すること注)。 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
アミノフィリン水和物 クロラムフェニコール テオフィリン トロピセトロン パロキセチン フレカイニド これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、用量に注意すること注)。 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
ラモトリギン デフェラシロクス これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注)。 本剤がこれらの薬剤のグルクロン酸抱合を促進する。
ルフィナミド これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注)。 機序不明
ドキシサイクリン ドキシサイクリンの血中濃度半減期が短縮することがある。 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
クマリン系抗凝血剤 ワルファリン クマリン系抗凝血剤の作用が減弱することがあるので、通常より頻回に血液凝固時間の測定を行い、クマリン系抗凝血剤の用量を調整すること。 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
アルベンダゾール アルベンダゾールの活性代謝物の血中濃度が低下し、効果が減弱することがある。 機序不明
利尿剤 チアジド系降圧利尿剤等 起立性低血圧が増強されることがあるので、減量するなど注意すること。 機序は不明であるが、高用量の本剤は血圧を低下させることがある。
アセタゾラミド クル病、骨軟化症があらわれやすい。 本剤によるビタミンDの不活性化促進、又はアセタゾラミドによる腎尿細管障害、代謝性アシドーシス等が考えられている。
アセトアミノフェン 本剤の長期連用者は、アセトアミノフェンの代謝物による肝障害を生じやすくなる。 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進されると考えられている。
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 セイヨウオトギリソウの肝薬物代謝酵素誘導作用によると考えられている。

[後文]
注)本剤を減量又は中止する場合には、これらの薬剤の血中濃度の上昇に注意すること。

【副作用】

副作用

【発現状況】

副作用発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

【重大な副作用(国内)】

重大な副作用
(頻度不明)
1.中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、紅皮症(剥脱性皮膚炎):観察を十分に行い、発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒感、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
2.過敏症症候群:初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害等の臓器障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
3.依存性:連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量を超えないよう慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不安、不眠、けいれん、悪心、幻覚、妄想、興奮、錯乱又は抑うつ状態等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
4.局所壊死:注射局所の組織に壊死を起こすことがある。
5.顆粒球減少、血小板減少:観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6.肝機能障害:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
7.呼吸抑制:観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

【他副作用(国内)】

その他の副作用
発現部位等 頻度不明
過敏症注1) 猩紅熱様発疹、麻疹様発疹、中毒疹様発疹
血液注2) 血小板減少、巨赤芽球性貧血
肝臓注3) AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTPの上昇等の肝機能障害、黄疸
腎臓注4) 蛋白尿等の腎障害
精神神経系 眠気、アステリキシス(asterixis)、眩暈、頭痛、せん妄、昏迷、鈍重、構音障害、知覚異常、運動失調、精神機能低下、興奮、多動
消化器 食欲不振
骨・歯 クル病注5)、骨軟化症注5)、歯牙の形成不全注5)、低カルシウム血症
内分泌系 甲状腺機能検査値(血清T4値等)の異常
その他 血清葉酸値の低下、ヘマトポルフィリン尿注4)、発熱

[後文]
注1)投与を中止すること。
注2)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注3)観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注4)連用によりあらわれることがある。
注5)連用によりあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常(血清アルカリフォスファターゼ値の上昇、血清カルシウム・無機リンの低下等)があらわれた場合には、減量又はビタミンDの投与等適切な処置を行うこと。

【高齢者投与】

高齢者への投与
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。なお、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと[高齢者では、呼吸抑制、興奮、抑うつ、錯乱等があらわれやすい。](「重要な基本的注意」の項参照)。

【妊産婦投与】

妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性(母体のてんかん発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[妊娠中に本剤を単独、又は併用投与された患者の中に、奇形を有する児(口唇裂、口蓋裂、心奇形、大動脈縮窄症等)を出産した例が多いとの疫学的調査報告がある。]。
2.妊娠中の投与により、新生児に出血傾向、呼吸抑制等を起こすことがある。
3.分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状(多動、振戦、反射亢進、過緊張等)があらわれることがある。
4.妊娠中の投与により、葉酸低下が生じるとの報告がある。
5.授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には、授乳を避けさせること[ヒト母乳中へ移行し、新生児、乳児に傾眠、哺乳量低下を起こすことがある。]。

【過量投与】

過量投与
1.症状:中枢神経系及び心血管系抑制。血中濃度40〜45μg/mL以上で眠気、眼振、運動失調が起こり、重症の中毒では昏睡状態となる。呼吸は早期より抑制され、脈拍は弱く、皮膚には冷汗があり、体温は下降する。肺の合併症や腎障害の危険性もある。
2.処置:呼吸管理。炭酸水素ナトリウム投与による尿アルカリ化、利尿剤投与により薬物の排泄を促進させる。重症の場合は、血液透析や血液灌流を考慮すること。

【適用上の注意】

適用上の注意
1.投与経路:静脈内注射はできない。
2.筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に配慮すること。
(1).神経走行部位を避けるよう注意して注射すること。
(2).繰り返し注射する場合には、同一注射部位を避けること。なお、乳児、幼児、小児には連用しないことが望ましい。
(3).注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流を見た場合は、直ちに針を抜き部位を変えて注射すること。
3.投与速度:呼吸抑制、血圧降下があらわれることがあるので、注射方法については十分注意し、注射速度はできるだけ遅くすること。
4.他剤との配合:本剤は、水によって主薬を析出するので、静脈内注射及び他の注射剤との混合はしないこと。
5.投与時:本剤の投与により、注射局所の腫脹、硬結を起こすことがある。
6.アンプルカット時:本品はワンポイントアンプルであるが、アンプルの首部をエタノール綿等で清拭してから、カットすることが望ましい。

【その他の注意】

その他の注意
1.ラット及びマウスに長期間大量投与(ラット:25mg/kg、マウス:75mg/kg)したところ、対照群に比較して肝腫瘍の発生が有意に増加したとの報告がある。
2.血清免疫グロブリン(IgA、IgG等)の異常があらわれることがある。
3.本剤と他の抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピン)との間に交差過敏症(過敏症症候群を含む皮膚過敏症)を起こしたとの報告がある。
4.海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている。

【貯法】

貯法及び期限等
貯法
室温保存

【使用期限】

使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。

【同一成分一覧】

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