2 個々の器官系用医薬品
21 循環器官用薬
211 強心剤
2113 ジギタリス製剤

改訂年月( 201212 )
商品分類番号( 872113 )
JPNコード( JPNC050354 )
YJコード( 2113400A1032 )
厚労省コード( 2113400A1016 )

薬価改訂日( 2014/04/01 ) 単位薬価( 92.00 )


■ジゴシン注0.25mg 0.025%1mL1管 (中外製薬) 【注射】  
(般)ジゴキシン注射液

  【改訂年月】   【改訂種別】   【禁忌】   【原則禁忌】   【組成性状】   【組成】

  【性状】   【効能効果】   【用法用量】   【用法用量使用上注意】   【使用上注意】   【慎重投与】

  【重要注意】   【相互作用・その他】   【併用禁忌】   【原則併用禁忌】   【併用注意】   【副作用】

  【発現状況】   【重大な副作用(国内)】   【他副作用(国内)】   【高齢者投与】   【妊産婦投与】   【小児投与】

  【過量投与】   【適用上の注意】   【貯法】   【使用期限】   【同一成分一覧】

【改訂年月】

201212

【改訂種別】

「版数」
第14版
「種別」
改訂
「改訂理由」
改訂

【禁忌】

禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.房室ブロック、洞房ブロックのある患者[刺激伝導系を抑制し、これらを悪化させることがある。]
2.ジギタリス中毒の患者[中毒症状が悪化する。]
3.閉塞性心筋疾患(特発性肥大性大動脈弁下狭窄等)のある患者[心筋収縮力を増強し、左室流出路の閉塞を悪化させることがある。]
4.本剤の成分又はジギタリス剤に対し過敏症の既往歴のある患者
5.ジスルフィラム、シアナミドを投与中の患者(「相互作用」の項参照)

【原則禁忌】

原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
1.本剤投与中の患者にカルシウム注射剤を投与すること(「相互作用」の項参照)。
2.本剤投与中の患者にスキサメトニウム塩化物水和物を投与すること(「相互作用」の項参照)。

【組成性状】

規格単位毎の組成性状
添加物
エタノール
添加物
プロピレングリコール
添加物
ベンジルアルコール
添加物
pH調整剤
添加物
リン酸
添加物
水酸化ナトリウム

【組成】

組成
[表題]

1アンプル(1mL)中


販売名 販売名 ジゴシン注0.25mg ジゴシン注0.25mg
成分・含有量 有効成分 日局ジゴキシン 0.25mg
成分・含有量 添加物 エタノール 86mg
成分・含有量 添加物 プロピレングリコール 415mg
成分・含有量 添加物 ベンジルアルコール 21mg
成分・含有量 添加物 pH調整剤(リン酸、水酸化ナトリウム) 適量


【性状】

性状
販売名 ジゴシン注0.25mg
剤形 注射剤(褐色透明アンプル)
性状 無色澄明液
pH 6.5±1.0
浸透圧比 非水溶媒含有につき測定不能

【色】
かっ色透明
無色澄明
【剤形】
/液剤/注射

【効能効果】

効能・効果
1.次の疾患に基づくうっ血性心不全(肺水腫、心臓喘息等を含む):
先天性心疾患、弁膜疾患、高血圧症、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)、肺性心(肺血栓・塞栓症、肺気腫、肺線維症等によるもの)、その他の心疾患(心膜炎、心筋疾患等)、腎疾患、甲状腺機能亢進症ならびに低下症等
2.心房細動・粗動による頻脈
3.発作性上室性頻拍
4.次の際における心不全及び各種頻脈の予防と治療:
手術、急性熱性疾患、出産、ショック、急性中毒

【用法用量】

用法・用量
1.ジゴキシンとして通常成人に対して:
(1).急速飽和療法(飽和量:1.0〜2.0mg):
1回0.25〜0.5mgを2〜4時間ごとに静脈内注射し、十分効果のあらわれるまで続ける。
(2).比較的急速飽和療法を行うことができる。
(3).緩徐飽和療法を行うことができる。
(4).維持療法:
1日0.25mgを静脈内注射する。
2.ジゴキシンとして通常小児に対して:
(1).急速飽和療法:
新生児、未熟児:1日0.03〜0.05mg/kgを3〜4回に分割、静脈内又は筋肉内注射する。
2歳以下:1日0.04〜0.06mg/kgを3〜4回に分割、静脈内又は筋肉内注射する。
2歳以上:1日0.02〜0.04mg/kgを3〜4回に分割、静脈内又は筋肉内注射する。
(2).維持療法:
飽和量の1/10〜1/5量を静脈内又は筋肉内注射する。

【用法用量使用上注意】

用法・用量に関連する使用上の注意
飽和療法は過量になりやすいので、緊急を要さない患者には治療開始初期から維持療法による投与も考慮すること。

【使用上注意】

使用上の注意

【慎重投与】

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1.急性心筋梗塞のある患者[心筋収縮力増強により心筋虚血を悪化させるおそれがある。]
2.心室性期外収縮のある患者[中毒が発現した場合鑑別ができないおそれがある。]
3.心膜炎、肺性心のある患者[少量で中毒を起こすおそれがある。]
4.WPW症候群のある患者[副伝導路の伝導速度を速め、不整脈が悪化するおそれがある。]
5.電解質異常(低カリウム血症、高カルシウム血症、低マグネシウム血症等)のある患者[少量で中毒を起こすおそれがある。]
6.腎疾患のある患者[本剤の排泄が遅延し、中毒を起こすおそれがある。]
7.血液透析を受けている患者[本剤の排泄が遅延する。また、透析により、血清カリウム値が低下する可能性があるため、中毒を起こすおそれがある。]
8.甲状腺機能低下症のある患者[本剤の血中濃度が高くなり、作用が増強し、中毒を起こすおそれがある。]
9.甲状腺機能亢進症のある患者[本剤の血中濃度が低くなり、作用が減弱し、大量投与を要することがある。]
10.高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

【重要注意】

重要な基本的注意
1.本剤を投与する場合には観察を十分に行い、過去2〜3週間以内にジギタリス剤又はその他の強心配糖体が投与されているか否かを確認したのち、慎重に投与量を決定すること。
2.本剤の至適投与量は患者により個人差があるので、少量から投与を開始し、観察を十分に行い投与量を調節すること。

【相互作用・その他】

相互作用
相互作用序文
本剤は種々の薬剤との相互作用が報告されているが、可能性のあるすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤と併用したり、本剤または他剤を休薬する場合は本剤の血中濃度の推移、自覚症状、心電図等に注意し、慎重に投与すること。また、本剤はP糖蛋白質の基質であるため、本剤の血中濃度はP糖蛋白質に影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられる。

【併用禁忌】

併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ジスルフィラム ノックビン シアナミド シアナマイド 顔面紅潮、血圧低下、胸部圧迫感、心悸亢進、呼吸困難、失神、頭痛、悪心、嘔吐、めまい、痙攣等があらわれることがある。 本剤はエタノールを含有しているため、ジスルフィラム・シアナミド−アルコール反応を起こすことがある。


【原則併用禁忌】

原則併用禁忌(原則として併用しないこと)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カルシウム注射剤注2) グルコン酸カルシウム水和物 カルチコール注射液 等 塩化カルシウム水和物 静注により急激に血中カルシウム濃度が上昇するとジゴキシンの毒性が急激に出現することがある。 本剤の催不整脈作用は、心筋細胞内カルシウム濃度に依存すると考えられている。 急激にカルシウム濃度を上昇させるような使用法は避けること。
スキサメトニウム塩化物水和物 スキサメトニウム レラキシン 併用により重篤な不整脈を起こすおそれがある。 スキサメトニウム塩化物水和物の血中カリウム増加作用又はカテコールアミン放出が原因と考えられている。

[後文]
注2)カルシウム値の補正に用いる場合を除く

【併用注意】

併用注意(併用に注意すること)
[前文]
1.ジゴキシンの作用を増強する薬剤:
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
解熱・鎮痛・消炎剤 インドメタシン ジクロフェナク 等 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある。
トラゾドン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 機序は不明であるが、本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。
強心剤 アムリノン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 過度の利尿により低カリウム血症が起こるためと考えられている。
不整脈用剤 アミオダロン キニジン ピルメノール フレカイニド ピルジカイニド プロパフェノン ベプリジル 等 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 機序不明なものも含まれるが、本剤の腎排泄が抑制されることによる血中濃度上昇、あるいは、薬力学的相互作用による刺激伝導抑制等があらわれることがある。
β遮断剤 プロプラノロール アテノロール カルベジロール 等 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 薬力学的相互作用により、伝導抑制の増強、徐脈の誘発があらわれることがある。また、カルベジロールでは本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。
利尿剤 カリウム排泄型利尿剤 チアジド系利尿剤 クロルタリドン フロセミド 等 アセタゾラミド 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 過度の利尿により、血中カリウム値が低下しやすくなるとの報告がある。
利尿剤 スピロノラクトン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある。
利尿剤 トルバプタン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 P糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制により、血中濃度が上昇するとの報告がある。
血圧降下剤 レセルピン系薬剤 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 薬力学的相互作用により、伝導抑制の増強、徐脈の誘発があらわれることがある。
アンジオテンシンII受容体拮抗剤 テルミサルタン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 機序は不明であるが、本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。
カルシウム拮抗剤 ベラパミル ジルチアゼム ニフェジピン 等 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある。
HMG-CoA還元酵素阻害剤 フルバスタチン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 機序は不明であるが、本剤の最高血中濃度の上昇が認められたとの報告がある。
HMG-CoA還元酵素阻害剤 アトルバスタチン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 P糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制により血中濃度の上昇が示唆されている。
ポリスチレンスルホン酸塩 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 腸内のカリウムイオンとのイオン交換により、血中カリウム値が低下するとの報告がある。
交感神経刺激剤 アドレナリン オルシプレナリン イソプレナリン 等 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 薬力学的相互作用により不整脈があらわれることがある。
副腎皮質ホルモン剤 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 副腎皮質ホルモンにより低カリウム血症が起こるためと考えられている。
ビタミンD製剤 カルシトリオール 等 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 ビタミンD製剤により血中カルシウム値が上昇するためと考えられている。
カルシウム経口剤 カルシウム含有製剤 高カロリー輸液 等 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 これらの薬剤により血中カルシウム値が上昇するためと考えられている。
シクロスポリン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある。
抗生物質製剤 クラリスロマイシン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 P糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制により、血中濃度が上昇するとの報告がある。
抗生物質製剤 アムホテリシンB エンビオマイシン 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 これらの薬物により血中カリウム値が低下するためと考えられている。
HIVプロテアーゼ阻害剤 リトナビル サキナビル 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 P糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制により、血中濃度が上昇するとの報告がある。
テラプレビル 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 P糖蛋白質阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。
化学療法剤 イトラコナゾール スルファメトキサゾール・トリメトプリム 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある。
抗甲状腺剤 チアマゾール プロピルチオウラシル 臨床症状;本剤の作用を増強することがある。 ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。 措置方法;「過量投与」の項参照 甲状腺機能亢進の改善に伴いクリアランスが正常になるため、本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。

[前文]
1.ジゴキシンの作用を減弱する薬剤等:
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カルバマゼピン 本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には本剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。 併用後、本剤の血中濃度の低下が認められたとの報告がある。
抗生物質製剤 リファンピシン 本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には本剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。 肝薬物代謝酵素誘導により、本剤の血中濃度が低下するとの報告がある。
甲状腺製剤 乾燥甲状腺 レボチロキシン リオチロニン 本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には本剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。 甲状腺機能低下の改善に伴いクリアランスが正常になるため、本剤の血中濃度が低下するとの報告がある。
アカルボース ミグリトール 本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には本剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。 併用により本剤の血中濃度の低下が認められたとの報告がある。
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には本剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。 本剤の排泄が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。

[前文]
1.ジゴキシンにより作用が増強される薬剤:
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ブピバカイン塩酸塩水和物 ブピバカイン塩酸塩水和物の副作用を増強したとの報告がある。 薬力学的相互作用によると考えられている。

[前文]
1.ジゴキシンにより作用が減弱される薬剤:
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ヘパリン ヘパリンの作用を減弱するおそれがある。 抗凝血作用に拮抗すると考えられている。

[前文]
1.ジギタリス中毒の症状を不顕化するおそれがある薬剤:
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
制吐作用を有する薬剤 スルピリド メトクロプラミド ドンペリドン 等 ジギタリス中毒の症状(悪心・嘔吐、食欲不振等)を不顕化するおそれがある。 これらの薬剤の制吐作用のため本剤の中毒症状が判別しにくくなる。


【副作用】

副作用

【発現状況】

副作用発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、頻度は不明である。(再審査対象外)

【重大な副作用(国内)】

重大な副作用
1.ジギタリス中毒(頻度不明):高度の徐脈、二段脈、多源性心室性期外収縮、発作性心房性頻拍等の不整脈があらわれることがある。また、さらに重篤な房室ブロック、心室性頻拍症あるいは心室細動に移行することがある。初期症状として消化器、眼、精神神経系症状[「その他の副作用」の項参照]があらわれることが多いが、それらの症状に先行して不整脈が出現することもある。このような症状があらわれた場合には、減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。[処置法は「過量投与」の項参照。]
2.非閉塞性腸間膜虚血(頻度不明):非閉塞性腸間膜虚血があらわれることがあり、腸管壊死に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、激しい腹痛、血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

【他副作用(国内)】

その他の副作用
発現部位等 頻度不明
消化器 食欲不振、悪心・嘔吐、下痢等
視覚異常(光がないのにちらちら見える、黄視、緑視、複視等)
精神神経系 めまい、頭痛、失見当識、錯乱、譫妄等
肝臓 AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇
血液 血小板数減少
過敏症注3) 発疹、蕁麻疹、紫斑、浮腫等
その他 女性型乳房、筋力低下

[後文]
注3)副作用があらわれた場合には使用を中止すること。

【高齢者投与】

高齢者への投与
高齢者に投与する場合にはジギタリス中毒があらわれやすいので、少量から投与を開始し、血中濃度等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。

【妊産婦投与】

妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

【小児投与】

小児等への投与
小児に投与する場合にはジギタリス中毒があらわれやすいので、少量から投与を開始し、血中濃度や心電図等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。

【過量投与】

過量投与
徴候・症状:ジギタリス中毒が起こることがある(「副作用」の項参照)。
処置法:
(1).心電図:直ちに心電図による監視を行い、上記のジギタリス中毒特有の不整脈の発現に注意する。
(2).重篤な不整脈の治療法:徐脈性不整脈及びブロックにはアトロピン等が用いられる。(徐脈性不整脈に通常用いられる交感神経刺激剤はジギタリス中毒には用いない。)
重篤な頻脈性不整脈が頻発するときは塩化カリウム、リドカイン、プロプラノロール等が用いられる。
(3).血清電解質:
[1].特に低カリウム血症に注意し、異常があれば補正する。
[2].高カリウム血症には、炭酸水素ナトリウム、グルコース・インスリン療法、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
(4).腎機能:ジゴキシンは腎排泄型であるので腎機能を正常に保つ。血液透析は一般に無効であるとされている。

【適用上の注意】

適用上の注意
1.調製時:
本剤はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してから、カットすることが望ましい。
2.筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
(1).筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ必要最小限度に行うこと。
なお、特に同一部位への反復注射は行わないこと。
また、乳幼小児に連用することは好ましくない。
(2).神経走行部位を避けるよう注意すること。
(3).注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血流の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。

【貯法】

貯法及び期限等
貯法
遮光した密封容器、室温保存

【使用期限】

使用期限
3年(外箱、ラベルに表示の使用期限内に使用すること)

【同一成分一覧】

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